とにかく速い! ロンドンの自転車通勤
今、世界的に自転車が注目を集めている。
日本では自転車ブームが続きスポーツサイクルに乗る人たちが増えているが、これは日本だけでなく世界的に起こっていることだ。
先進国を中心に車への関心が薄れ、以前のようにお金がないからしかたなく自転車に乗るのではなく、むしろトレンドに敏感な人たちが今一番新しい乗り物として自転車を使うようになっている。
そしてこれまで交通の脇役に過ぎなかった自転車が主役として見直され、多くの街が自転車を交通の中心に位置づけるために大きく変わりつつある。
以前から自転車政策先進国と言われていたオランダ、デンマークを筆頭に、多くのヨーロッパの国に広がり、さらにアメリカ、アジア、そして遅ればせながら日本にもその影響は及んできた。
この連載では、世界各地や日本でどのように自転車が活用されているか? そしてそのためどのような政策が行われているのかを私が経験したことを元に書いていく。
まず、第1回目はイギリス、ロンドンから。
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今、ロンドンで自転車通勤者が急激に増えている。その様子を日本人が見たら日本の自転車に対するイメージとのあまりの違いに驚くだろう。平均時速30km程度。とにかく速い。高価そうなロードバイクにまたがり、ヘルメット、体にフィットしたサイクルジャージや安全のための蛍光色のジャケットでキメたすごい数の人たちが、水色に塗られた自転車レーンを颯爽と走っていく。
車道走行は当然。ピーク時はあまりの数の多さに車の前後にまで大きくはみ出して走っているが違反ではない。日本では「自転車は車道の左端を走ること」という規定があるが、イギリスでは端だけでなく車線のどこを走ってもいい。車の側がちゃんと危険がないようにスピードを落としたり、間隔を開けて配慮しなければならないのだ。
自転車が曲がるときはハンドサインを出す。停車中のバスを追い抜くときは右側(車線側)から。交差点ではバイクボックスと言って車の停止線の前に自転車マークと自転車の停止線が描かれ、車の前に自転車が並び信号待ちをしている。信号が変わるとまず自転車がスタート。その後を車がゆるゆると付いていく。右折(イギリスでは日本と同じく左側通行)するときも2段階右折の義務はない。車と同じようにあらかじめ車道の右寄りに寄って一気に曲がっていく。まさにオートバイと同じ感覚なのだ。
日本のように自転車が歩道を中心にゆっくり走っていたら車の代わりにはならない。自転車は環境にいいと言うが、車を自転車に替えることが環境にいいのであって、ゆっくりしか走れない自転車では歩行者の替わりにしかならず、環境面からはなんの意味もないのだ。ロンドンではまさに自転車の方が車より速い。それでこそ車に取って替わることができ、車が減ることで渋滞も減り、さらに自転車の速度がアップする。ビジネスの効率も上がるのだ。ただし、体力のある人でないと自転車で走れないという問題はあるのだが……。
ロンドンの自転車通勤風景
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執筆者紹介
藤本芳一
合同会社自転車ライフプロジェクト 代表社員
輪の国びわ湖推進協議会 副会長
日本全都道府県と海外43ヵ国を自転車で走る。
ウェブサイト「自転車大好きマップ」の運営、京都自転車マップの制作・出版など自転車マップづくりをメインに、自転車を使う方を増やすための活動を行っている。